結構前になるが、とある女性利用者サンのお話。
施術は難しいこともなく、変化も確実に見られた。
にもかかわらず、何故か結果が伴わない。
そんなことがあり得るのか??
本人曰く「何もしてません」と言うのだが…。
おかしい、絶対におかしい!!
納得はいかないものの、強く問い詰めるわけにもいかない。
施術中の何気ない会話の中から手がかりとなる“ほつれ目”を探す。
そして見つけた!!
どうやらカイロプラクティック施術の他、マッサージも続けていたらしい。
なんて無駄な…、そしてもったいない…。
別に施術に不満があったわけでもなく、むしろ満足していたとのこと。
「しっかりと状態を説明してくれた」ので、自分の身体に希望が持てたのだという。
ならば、何故に??
[6回]
初回時、私はカイロプラクティック独自の哲学そして筋骨格系と神経系との関わりについての説明をしている。
カイロプラクターたる者として当然のことである。
が、どうもこの“筋骨格系”という表現がいけなかったようだ。
彼女の中では“筋”の部分が取れてしまって、骨格系と神経系になってしまったらしい。
そのため、残りの筋肉に対してマッサージを施せば「もう完~ぺき~っ!!」と考えたのだという。
なるほどね…。
まあ、『惜しいっ…』ってところだろうか。
このところ、様々な会合へ足を運んでは一献傾けている。
私は学校や団体の垣根などは無視しているので 、それこそ様々な意見が聞けて面白い。
その中でほぼ共通して上る話題がある。
「カイロプラクティックの浸透度が低い!!」というモノだ。
はっきり言って、一般的には“整体”の英訳が“カイロプラクティック”だと信じている人が大多数ではないのか。
そんな現状で学校の存在が知れ渡るはずもなく、新入生が減っていくのも半ば当然と言えよう。
現状を憂う最中、久々に笑わせてくれるFAXが届いた。
“以前はマッサージを安く提供するところから始まり、今では乱立による価格破壊状態。
そこからコンサルタントの指示に従った物販促進。
手を変え品を変えども、他との差別化はできていない”
まあ、ここまではよくある話だし、よく聞く話である。
面白いのはここからだ。
“自然治癒力は神経伝達に大きく関与しています。
つまり神経伝達の強化が大切なのです”
ん??
“カイロや整体のように、ただズレを見つけたらボキッ!でなく、何故そこがズレたのかを追及し施術しなくてはいけないのです。
施術に対して哲学を持ち、流行に振り回されない技術を手にしたら仕事はもっと楽しくなります”
なんだこれ??
笑わしてくれんな、おい。
で、あとは独自のテクニックとやらの無料体験会と理論説明会という流れになっている。
HPがあったので確認してみると、アジャスターなる器具を片手にポーズをキメてるおっちゃんが…。
で、そのアジャスターとかいうのも、パッと見ほぼアクティベーターIVだったりする。
ここまでくると、もう“独自”でもなんでもなさそうな臭いがしまくりである。
最初はカイロプラクティックを全然勉強してないヤツの仕業かと思ったのだが、どうやらそうでもなさそうだ。
なんとなく、ワザと知らないフリをしているように思える。
カイロプラクティックを誤解している人を対象として書かれた文面のように読めるのだ。
ただ、FAXで流れてきたということは、ウチ以外にも不特定多数のオフィスに送られたモノと想像できる。
これをカイロプラクターの下に送りつけるというのは、相当な度胸か無神経としか思えない。
まして、アクティベーターを使用している先生からすれば腹立たしいことこの上ないのではないか。
募集をかけている体験会も30数回を数えているようだ。
その割に、これまで問題になったという話は聞いた覚えがない。
考えられるのが、柔道整復師や“整骨院”に限定した送信では…ということ。
真面目にやってるカイロプラクターが少数派であることを逆手に取られた行為とも言えよう。
まして、私のようにHPまで確認しない限りアクティベーターの疑惑も湧いてこないわけだし。
しかしまぁ、こういうことをする人って、やっぱり金目当てだよね??
表向きは「皆さんに幸せになってほしいから」とか臆面もなく書いてあるけど、違うでしょ??
それが本心ならお金を取る必要はないはずだし。
まして毎月の支払いというのはどうなのだろうか??
ビジネスのコンサルティングならば話は分かる。
自称“独自”テクニックの言わば“使用料”が毎月発生するというのはどうも解せない。
先に紹介した人の場合、FAXには“月々18,000円”と書かれていた。
が、HPを見ると“月々13,000円”となっていた。
勝手に送信しておいて、その通信料も取ろうって魂胆かね…。
「ったく、こういうヤツがいるからカイロプラクティックが誤解されるんだよ…」
よく耳にするセリフ。
わからないでもないが、愚痴るだけではどうにもならない。
とどのつまりは、カイロプラクティックが真の意味で市民権を得られていないからなのである。
現状は言わば、業界の多くが波打ち際で砂遊びをし続けているに過ぎない。
潮の満ち引きによって跡形もなく流され、その度にキャッキャキャッキャと騒ぐ。
流されて土台から組み直すかと思いきや、土台はそのままに違ったモノを作り始める。
当然、流される。
キャッキャキャッキャと騒ぐ。
2歳児か??
カイロプラクティック業界における強固な土台の構築が急務とされている。
他人任せでなく、各人が当事者であるという意識を持たなければならない。
“棚からぼた餅”もいいが、肝心の“ぼた餅”が落ちてくる場所にいなければ何の意味もないのだ。
そろそろ砂遊びに飽きてもいい頃じゃね??
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