先日、といってもまた結構経ってしまったが、とあるセミナーに参加してきた。
何というか、久しぶりに『面白い!!』と心の底から言いたくなるようなセミナーだった。
私の素性がバレているため、あまり書くとセミナーが特定されてしまう。
失礼にあたらぬよう、細心の注意を払いながら書き進めていかねばなるまい…。
今回、私が『面白い!!』と言ってるのは、何も内容だけに限ったことではない。
全体の雰囲気、そしてそこに参加している人たちの“やる気”がセミナー全体を盛り上げているように感じた。
こうした盛り上がりを肌で感じれば感じるほど、ある思いが私の頭にもたれ掛ってくる。
JACに最も欠けているモノ、それこそがこの“盛り上がり”なのだ。
[10回]
WFCからの意向を受け、JACは日本国内における不特定多数に対してのカイロプラクティック・テクニックセミナーを禁じている。
十分な知識のない者に技術を教えるとなれば、そこから事故につながるというリスクは格段に高くなる。
この点に関して異論はない。
ただJACは、いわゆる“国際基準”を満たさない者は全てセミナーから除外している。
これはJACがというより、WFCの通達に則っているに過ぎない。
これによって日本で学んだ多くのカイロプラクターが除外されてしまっている。
もっとも、JACは国際基準を満たさない者をカイロプラクターとして認めていないのだから、当然と言えば当然である。
しかし、これもWFCの通達を愚直に守っているだけなので、日本の現状にはそぐわない。
JACの姿勢に対し、異を唱えるD.C.は少なくない。
そうしたD.C.の先生方は、“最低限”は学んだであろう専門学校卒の人たちにもセミナーの門戸を開いている。
JACはこのようなセミナーを「安易な金儲け且つ無責任なセミナー」として一蹴している。
個人的には皆が皆そうだとは思わないが、JACの見解としてはそういうことになる。
ああ、違った。
WFCの見解だ。
JACの見解なんて聞いたことねえし。
これまでも何度となく書いてきたが、まずはJACが魅力あるセミナーを開催しなければ話にならない。
それも、カイロプラクティックをかじっている者であれば誰しもが羨むようなセミナーが求められる。
しかしながら、そうしたセミナーの講師陣はJACが言うところの「金儲けセミナー」を行っている場合が多い。
そのため、“大物”と称される先生のセミナーを開催するまでには至っていない。
JACの開催するセミナー自体は質が高く毎回面白いと思うのだが、集客の面でかなりの苦汁を舐めさせられている。
とは言うものの、この点に関してはセミナーのコンテンツ云々の問題だけではなさそうだ。
前々から気になっていたのが、JAC会員並びにRMIT卒業生は貪欲さに欠けていると思しき面がある。
たとえばデモンストレーションやワークショップにしても、何かを得ようという姿勢が見られない。
「そんなのはもう知ってるよ」と言わんばかりに、1歩引いて更に1段高いところから見下ろしているような態度が感じられる。
それ以前に、多くは参加すらしてこない。
たまに参加しては、その活気の無さに辟易し、以後現れなくなる人も少なくないのではないか…と思っている。
本人のやる気次第のはずなのだがね、本来なら…。
一方、専門学校卒の先生方は驚くほどに貪欲だ。
ただ、その貪欲さにも大きく分けて2パターンあるように思う。
1つは、知識も含めて全て取り込んでモノにしていこうというモノ。
もう1つは、教わったことをただそのままコピーしようとするモノだ。
テクニック習得において、デキる人の猿真似から入るのは悪いコトではない。
が、中には“最高の猿真似”をゴールに設定しているというか、猿真似から脱皮する気のない人が少なくないようだ。
下手なテクニックでも、理解できるモノとそうでないモノとがある。
自分も含めて、習得していく上で誰しもが通るであろうヘタクソさの経緯があるわけだ。
この場合、自分自身も通ってきた過程である故、アドバイスもしやすい。
ところが、『ナゼ??』という身体の使い方をする人が哀しいかな少なくない。
これは専門学校卒の先生方に多く見られる。
この辺はやはり勉強量の違いと言わざるを得ないだろう。
最も顕著に現れるのが、解剖学の知識の無さである。
それも、“理解していない”のではなく、“知らない”というレベルだったりする。
“知らない”からこそ猿真似に徹せられるという、変な強みがあったりするわけだ。
これが貪欲さの一端を担っているのかもしれない。
猿真似でも完璧なまでに完成度を高めてくれれば、それなりのモノにはなるだろう。
もっとも、関節の動きや向きも知らないままだとしたら、どうにもなりはしないだろうが…。
仮に、解剖学を最低限理解したものとして話を進める。
こうなると多くの場合、猿真似が完成する前に自分なりのアレンジを勝手に入れてしまい、訳のわからん形になるケースがほとんどだったりする。
こうした連中が世に蔓延することが最も危惧されるポイントである。
JACの姿勢を「頑な過ぎる」と称する向きもあるが、そう成らざるを得ない程に勉強不足の先生が多いのも事実なのだ。
無責任な「知らない」連中と、勝手に「達観した」連中。
この両極端でバランスを取ろうというのは困難至極であること間違いない。
JACは「達観した」と勘違いして参加すらしてこない連中にのみ門戸を開き、貪欲な連中は締め出してしまう。
参加者の少ないセミナーが盛り上がるはずもなく、その収支も惨憺たるものだ。
一方で人気も高く参加者のやる気に満ちたセミナーを「金儲けの道具」と一方的に位置付け一線を画す。
これが方針だというのであれば、それはそれで構わない。
ただ、このままだと日本におけるカイロプラクティックの先の展望が全く見えてこない。
おそらく、こればっかりはどれだけ時間が経とうとも良い方向に向くことはないだろう。
JACはWFCの意向を盾に「そのセミナーをやめてくれるのなら、ウチで開いてもいい」と言う。
まあ、さすがにここまで傲慢な言い様ではないにせよ、意味合いとしてはそういうことになる。
開いてくれるのは実に結構な話ではあるが、今のJACにどれだけの集客力があるのかは甚だ疑問である。
さあ、次なる一手は誰が打つ??
JACが率先して動くのか??
それとも、JAC以外が動くのか…??
いずれにしても、世間が抱くカイロプラクティックに対する期待を裏切らないことを切に願う。
あと、期待がある内に動くことだね。
時間は思っているほど、残ってないよ。
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