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昨年末の話になるが、「クリスマスの約束」という番組があった。
小田和正さんが毎年行っているクリスマス・コンサートの公開録画である。
例年はライブ映像をハイライトで見せてくれるだけで、それでも趣向が凝らされており結構楽しめた。
ただ、今回はドキュメンタリーとしての構成がなされていた。

「22′50″」
メイン企画のタイトルである。
これは小田さんが声をかけて賛同したアーティストが、全員で各人の代表曲をメドレーで一緒に歌おうというものだった。

人気アーティストが一堂に会してヒット曲を歌う。
考えただけでワクワクしそうな企画である。

ところが、この企画はポシャリ寸前のところまで追い込まれることとなるのである。
何故か??

拍手[4回]

一番のネックとなったのは、若手アーティストからの同意が得られなかったことだ。
つまり、「メドレーで歌うことに何の意味があるのか??」というものだった。

「せっかくのソロでの聴かせどころなのに、皆で歌ってしまってはクオリティが下がる」
「皆で歌うことは『没個性』に繋がる」

加えて、番組製作サイドからも疑問が投げかけられる。
言葉は濁しながらも「それのどこが面白いのか??」という姿勢が見て取れる。

そうした疑問に対し、小田さんは明確な回答を出すことができない。
何故なら、小田さんが前々から「やってみたい」と思っていた事をやってみようとしているだけだから。
つまり、そこには何の「意味」もないのである。

ベテランは思いの実現を求め、若手はその意味を求める。
どこか「大人」と「子供」が逆転してしまった感じである。

それでも、音合わせを重ねていくと、練習にもだんだんと熱を帯びてくる。
おそらくアーティストとしての創作意欲が刺激されたのだろう。
アーティストたる所以である。

そして当日、企画は大成功を収める。
会場全体が大感動に包まれ、拍手の嵐はいつまで経っても鳴り止まない。
その中で、アーティスト達も誰からともなくハイタッチそしてハグが続いていく。
ベテランも若手も関係なく、舞台も会場も確実に1つとなっていた。

感動はブラウン管(地デジ化はまだまだ遠い…)のこっち側にも十分伝わってきた。
私もその感動に打ち震えながらも、頭のどこかでは違う事を考えていた。

若手アーティストの口から何度となく出てきた「意味」という言葉が頭から離れなかった。

どうして「意味」がないと動けないのだろう。
もし「意味」が解った上での行動であったら、その先もある程度想像できる。
それは、どこかで「可能性」を捨てることにはならないだろうか。

何か確実なことしかしたくない、冒険したくない、そんな感じだろうか。
絶対的な勝算がない限り、好きな相手に告白しないという、その感覚に近い気がする。
仕分け作業宜しく「ムダを省く」と言えば聞こえがいい。
その一方で、それ以上に大切な何かを切り捨てているように思えてならない。

何故こんなことを書いているかというと、カイロプラクティック業界にも同じような感覚を覚えていたからだ。

いやぁ~、長い前フリだったね…。

というわけで、つづく。
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