昨年ほぼ1年間まるまるを費やして行ったプロジェクトがある。
「東京都内で開業するには、どの駅前が最も適しているか」というものである。
「駅前」というのは簡単だが、東京には相当数の駅がある。
JRが大半を占め、大手私鉄数社、そこに地下鉄が加わる。
モノレールやゆりかもめと、正直キリがない。
1年あっても時間は足りず、結局JRと私鉄各線の全駅を調査するのが精一杯だった。
それでも駅の数は400以上に上る。
それら各駅の半径500mにおけるカイロプラクティック・オフィスの数を調べた。
オフィスは国際基準、専門学校卒、出身校不明、詳細不明、異業種の5つに分類した上で集計した。
この場合の「異業種」は、カイロプラクティックを行っていないのに業種登録しているオフィスを指している。
他、各駅の乗降客数、異業種オフィスの数、賃貸相場、人口比率等の相関性を算出した。
そしてそれらのデータから、新規開業に最も相応しい駅を導き出した。
結構、興味深い話だと思うのだが、どうだろうか。
今回はこのプロジェクトに関して気付いたことを書いてみようと思う。
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調べていてまず思ったのが、ネットにはウソ情報が氾濫していると、今更ながら思い知らされたことだった。
タウンページでは業種を登録することができるのだが、実態と関係なく登録することが可能である。
よって、検索に引っ掛かりやすいように、やってもいないカイロプラクティックを取り扱い業種として登録しているオフィスが非常に多い。
結局はHPを片っ端から開いて確認していくしかない。
「片っ端」といっても、実際は検索でヒットしたものを上から順に見ていくだけである。
となると、如何にして上位でヒットするかが重要となってくる。
当然、検索ワードとなるキーワードを予めいくつか想定する必要があるだろう。
多くの場合、HPを開くと「プロフィール」のようなページがあり、院長及びスタッフの経歴が書かれている。
一方、そうした個人に関して全く触れられていないサイトもある。
先に述べた「出身校不明」がこれにあたる。
確かに、カイロプラクターは「職人」の側面も持っているため、「腕だけで勝負」という思いがあるのかもしれない。
国際基準やら学歴やらで左右・判断されたくないというのもあるだろう。
ただ、勉強してきたという本人の足跡を表に出すことは、別に悪いことではないと思うのだが…。
何も記載しないことで、却って損をするような気がするのだが、どうなのだろうか。
もっとも、経歴詐称が疑われるサイトもいくつかあった。
多いのは、1週間足らずの実習を、さも海外で履修したかのような表現で記載しているサイト。
「海外で学び、帰国後~」と書けば、それっぽく見えるやつね。
一番怪しかったのが、アメリカに留学したにもかかわらず、「カイロドクター(D.C.)」と書かれている某先生。
本当に留学した人なら、「カイロドクター」という言い回しをすることはちょっと考えにくい。
敢えてそういう言い回しをする理由もないだろうし…。
一応、出身大学が卒業年と共に記載はされているが、大学の名前がビミョーに間違えてある。
仮にその大学だったとしても、その年に卒業された日本人D.C.はいないはずなのだが…。
その後、別の大学で博士課程も修了されているようだが、調べてみるとどうやら学位が買える大学らしい。
どうせ騙すのなら、カイロプラクティック関係者全員も含めて完璧に騙してほしいものだ。
一般の利用者にバレなければいいという考えはかなり甘いと思う。
我々なら鼻で笑って済むことでも、利用者は全く容赦してくれない。
というより、それ以前にカイロプラクティックに対してやる気の欠片も全然ないってことなのかもしれないな…。
今回のプロジェクトでは他にもいろいろ知ることができて、個人的には大変満足している。
ある方からは「個人レベルでやることじゃない。よくやったよ」とお褒めに与った。
別の先生からは「おまえのライフワークにしろ」と言われた。
ライフワークにしてもいいが、この先それだけの時間が費やせるかどうか…。
私の書いた論文チックな作文は、そのうちネットでも閲覧できるようになると聞いている。
本当にライフワークにするかどうかは別として、ここでも少しずつ小出しにしていこうかと思う。
本人、至って気まぐれにつき、期待せずに待たれよ。
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