この1年の間に、ウチの近所にカイロプラクティック・オフィスが3件オープンした。
ネットで調べてみると、そのうち2件は専門学校を出て、修行をしてから満を持しての開業のようだった。
1件は専門学校の出らしいが、プロフィールがないので詳細は不明である。
いずれにしても駅前に位置しているため、駅近くを歩けば看板を目の当たりにすることが多い。
ネット検索でも割と上位に引っ掛かることから、広告費は結構費やしているのかもしれない。
1件は看板も施術費の安さを強調したレイアウトで、その意気込みだけは感じられた。
ところがである。
1~2ヶ月くらい前から、早くも看板がリニューアルされた。
看板のウリが「保険適用」に変わり、カイロプラクティック治療は「ついで」扱いになっている。
ネット上での広告がかなりの量だっただけに、その行末がこれですか。
「あらあら…」と、何とも言えない倦怠感に襲われる。
襲われた気だるさを残したまま、久しぶりにサイトを開いてみた。
すると、看板同様もしくはそれ以上に、サイトの内容が一新されていた。
以前は、これまで自分が勉強・研究してきたテクニックが丁寧に解説されていた。
内容は簡単とは言えなかったものの、本人の強い思いが伝わってきたのを覚えている。
それだけに、改定後のサイトには物足りなさを感じてしまう。
決して悪くないし、キレイだと思うのだが、やっぱり何かが足りない。
サイトを解りやすくしただけで、施術などの内容に違いはないのかもしれない。
それでも…、である。
地元だけに、看板を目にしないわけにはいかない。
その度に、一抹の寂しさを覚えてしまうのだった…。
「ついで」じゃないとやっていけないということなのか。
カイロプラクティックは、「高い」というイメージがあるのだろうか??
[2回]
実のところ、カイロプラクティックの適正価格とは如何ほどのモノなのか??
「各オフィスでの初回及び施術費にどれだけの差があるのだろうか??」
前に紹介したプロジェクトを立ち上げた当初、個人的には非常に興味があった。
おそらく賃貸相場と同様に、そのエリアでの相場が存在すると予想していたのだ。
ところが、エリアにおける格差は思ったほど大きくなかったのである。
エリアではなく、カイロプラクティックの相場が存在することがわかった。
その額、平均¥4,500~¥5,000。
同じく保険の対象とならない鍼灸のそれと比較しても、ほぼ同等か少し安いくらいである。
さすがに保険診療と比較してしまうと、高く感じてしまう。
カイロプラクティックを「マッサージみたいなモン」と思っている人が、¥5,000払ってまで通うとは到底思えない。
¥5,000ならば¥5,000で、その金額に見合うだけのサービスが当然求められるだろう。
もちろん、¥1,500~¥2,000といった低価格に設定するのもアリだ。
サービスの薄利多売という考えであれば、特に問題はないと思う。
ただ、価格と共にサービスも低下するようでは頂けない。
正直な話、施術費をいくらに設定しようと「こっちの勝手」である。
駅前で家賃が高いから、その分高めに設定しているところもあるだろう。
技術の習得に費やした分をそのまま上乗せしているところもあるだろう。
理由はどうあれ、経営者側の問題、つまり「こっちの勝手」なのだ。
そこに利用者の意見は全く反映されていない。
利用者はそれでも行くか、それとも行かないかという「こっちの勝手」で意見を反映させるしかない。
利用者感覚からすると、カイロプラクティック治療に対していくらの金額までなら出せると考えているのだろうか。
カイロプラクターと利用者との間に存在するであろう、サービスに対する金銭面でのギャップ。
このギャップが小さければ小さいほど、利用者側の適正価格に近づくと考えられる。
読んで字の如く、適正価格は正しく設定されてなければならない。
そうでなければ後世に伝わるモノも伝わらなくなる。
例えば、自分が偉くなったからといって、施術費が上がるようなことはあってはいけない。
何故なら、それこそ「こっちの勝手」だから。
利用者を「こっちの勝手」につき合わせてはいけないと思うし、巻き込むべきではない。
そこには、「納得」という同意が必要不可欠となるだろう。
更に、その先には「満足」が待ち受けてなくてはならない。
ある先生は開業以来30年近く、施術費は据え置きのままだという。
「幅広い年齢層から利用してもらうことを考えた時、これ以上は難しいかな…と。
もう少し高めにしておいた方が良かったかなーって思うことはあるけど(笑)。
今となってはもう値上げはできないね」
別な先生は言う。
「アジャストメントをして、動きが良くなった事を確認した。
そこでオシマイにしてしまうのは、単なる自己満足に過ぎず、十分な治療とは言えない。
自分が満足したら、今度はそれを患者に実感してもらわないといけない。
患者が実感し満足して、初めて十分な治療と言えるのだ」
知らず知らずのうちに「こっちの勝手」を振りかざしてはいないだろうか。
これを機に、スタッフや仲間と共に互いを見つめ直してみるのもいいかもしれない。
更なる向上を目指して。
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