「実はですね、御社の素晴らしいHPをより効果的なモノにする方法が見つかりまして…」
唐突な始まり方である。
「私がそのポイントをまとめ上げた資料をお持ちいたしますので、本日4時ごろお時間頂けないでしょうか??」
声の感じからして20代半ばだろうか。
もちろん初めての電話である。
それで、いきなり向こうから時間を指定してくるとは思わなかった。
「今日、ちょうど近くを回ってまして…」
以前も書いたと思うが、このテのヤツは大抵近くを回ってない。
こんなブログを書く私は過去に2度ほど『今はどの辺りにいらっしゃるんですか??』と聞き返したことがある。
「あ、いや、ここは、えっと…」
ディスプレイにでた番号は“03”から始まっているし、受話器の奥からオペレーターらしき人の声が多く聞こえた。
どう考えても、近くにいるとは思えない。
今回も同様のような雰囲気が受話器の向こうから伝わってくる。
なんで、そんな小芝居を打つ必要があるのかねぇ。
[4回]
どうでもいいけど、時間を割いてまでして会おうという気は全く起こらない。
丁重にお断りを入れると「月曜日は??」「火曜日は??」と食い下がる。
毎度のことだが、もはや「近くにいる」という前提は無視されている。
向こうなりのノルマがあるのか、こうした電話がある一定期間だけ集中して掛かってくる気がする。
というわけで、相手にしないでおけばそのうち消えてくれる。
ま、あんまり熱意は感じませんわよね、それじゃあ。
そうした中、また別の電話が掛かってくる。
『ご用件は??』
「いえ、院長先生にご挨拶しようと思いまして」
『でしたら、もう何度もお電話頂いてますし、こちらもなかなか出られませんので、ご挨拶でしたらもうよろしいですよ』
「何度も、ですか??」
『はい、昨日も一昨日も頂いてますので』
ここで一方的に切られてしまった。
しかも、こちらの受話器に「ブチッ!!」って聞こえてくる、そんな切り方で。
ヒジョーに不愉快な終わり方であるが、これでもう掛かってこないのであれば、それはそれで善しとしよう。
ところがである。
現時点でその業者からの電話はまだかかってきていたりする。
しかも1日に朝と晩の2回もだ。
『しつけーなー』などと思いながらやり過ごしていると、突然電話が来なくなる。
『やっと諦めたか…』と思えば、それから数日後にはまた朝晩攻撃が再開される。
これはもしや、好きな相手の気を惹こうとする電話やメールの作戦では…??
まさかこんなところでそんなテクニックを使われるとは思いもしなかった。
ここで『タダならいいか…』なんて気になったら相手の思うツボってことなのだろう。
そもそも、ちょっと気に入らないだけで乱暴に電話は切るような輩である。
ヘタに付き合って、別れた後でしつこくストーカー行為されても困るので、関わらないことにしよう。
そんなことを考えていると、また別の電話が掛かってくる。
「今の時代、インターネットは無視できないと思うんですよね」
今更ネットの重要性を語られてもな…。
面倒臭そうなので、区切りのいいところで諦めてもらうとしよう。
『今、他にもいろいろやってますので、これ以上同時に進行させるのは無理があるんですよ』
事実、内装・外装を含めいろいろ手を加えている最中だ。
HPをリニューアルするにはやや中途半端なタイミングと言えよう。
ところが、そんなこちらの思いなど、全く通じない。
「えっ?? もう何かされてるんですか??」
『ええ、内装とか外装とか、いろいろやってますよ』
「ああ、はいはい。内装とかをってことですね」
『ええ、なので現時点でちょっと手一杯なんです』
「えっ?? でもインターネットでは何もされてないんですよね??」
どうやら、内装その他とネットは別物だから問題ないと考えているらしい。
それはその通りではあるが、それらを担当するのは全て私なのだ。
もちろん本業であるカイロプラクターとしての仕事が最優先。
そこに支障をきたすようでは、まさに本末転倒である。
『ですから、これ以上のコトを同時進行させるのには無理があるんですよ』
「えっ?? もうネットで何かされてるんですか??」
話が全くかみ合わない。
自分の範疇でしかモノを考えることができないようだ。
会話にならないことへの呆れ笑いとともに、『もう結構です』と告げて電話を切った。
そこであることに気づいた。
しつこく電話を掛けてくるのはS社、W社、そしてN社の3つ。
どんな会社なのかを確認する意味でHPはすでにチェック済みだった。
ただこの3社、パターンがあまりにもよく似ていた。
営業の電話なんてどれも皆似たようなモノではあるにせよ、あまりにも酷似しているように感じたのだ。
気になったので、改めて調べてみた。
すると、やっぱりである。
3社とも会社の住所が同じだった。
それだけではない。
うち2社は、テレビでも取り上げられるようなベンチャー企業と同音の会社名を名乗っていた。
例えば会社名で検索した場合、このベンチャー企業が上位に現れる。
私が以前チェックした時も、この企業のHPを見ていたのだ。
実際の会社は、もっと下位で検索されているのである。
こうなると、ちょっとした悪意を感じてしまう。
故意か偶然かは知る由もないが、結果的に隠れ蓑として利用されている企業にとってもいい迷惑だろう。
困ったものである。
まあ、これで電話が切りやすくなった。
これからは無意味に刺激しないようやんわりと、且つ速攻で済ませることにしよう。
さて、次はどんな手でくるのかな…。
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