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カイロプラクター
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「治」している時はカイロプラクターではない旨のことを前回書いた。
この辺のことに関して、あまり考えていないカイロプラクターが結構いるように思える。

教わっていないのであればまだしも、そのことを教わっているのだったら常に考えているべきであろう。
いや、考えるまでもなく当たり前のこととして身に付いていなければいけない。
学生ならともかく、インターンともなればそうした考えを持ち合わせておいて欲しいと、個人的には思っている。

そうすることでインターンとしての悩みが増えてしまうかもしれない。
が、そうして悩めるのもインターンの時だけだ。
カイロプラクティックの在り方について考え耽ることは決してムダにはならない。

しかしながら、どうもその辺りの考えが稀薄に感じられる。
しかも、それが教える側に見えてしまうと、結構最悪なのではないだろうか。

残念ながら、それを象徴するようなエピソードがある。

拍手[3回]

RMITの学生時代、ケーススタディ形式のテストがあった。
あるケースを与えられて、その判断と対処法を試験官2人の前でプレゼンするのである。
卒業までに2回受け、当然クリアしなければらならない。

ある時、私のプレゼンに対し、試験官から質問が出た。
『頸椎にはアジャストしません』という私の発言を受けてのモノだったと記憶している。

「何でしないんですか?? 治せるかもしれないのに」

『カイロプラクティックは何も治しませんよ』というのが私の返し。

刹那、(そういうコトを聞いてんじゃねぇよ…)といった思いが試験官の含み笑いから見て取れた。
同時に、その試験官たちのカイロプラクターとしての姿勢が垣間見えた気がした。

ちなみに、RMITでは「治さない」と座学で教えていた。
ところが、こうしたカイロプラクティックの基本ともいえるコトが、臨床の場である外来では見事に蔑ろにされる。
先のエピソードでは、これが見事に反映されていたと言えよう。

ただ、こうしたこだわりは飽くまでもカイロプラクターに対してだけのモノ。
何度も繰り返すようだが、利用者にとってはどうでもいい話である。

治してほしいと願う利用者。
治さないカイロプラクター。

たとえ「直」したとしても、効果が感じられなければ、それはカイロプラクターの単なる自己満足で終わってしまう。
「治」してもらえなかったと感じた利用者が、2回目の施術を受けにくるものだろうか。

以前受講したセミナーで、以下のような話を聞いた。
カイロプラクターには言ってはいけない“禁句”があるという。
その“禁句”とは、

「様子を見て」

カイロプラクターであれば、おそらく誰しもが1度は使ったことがあるセリフではないかと思う。
思い返してみると、私もインターン時代には何の気なしに都合よく使っていたような気がする。

自分の持ち得る全ての技術を出したにもかかわらず、思ったほどの変化・改善が見られない。
あとはこの人の“イネイト”次第。
だから、このまま様子を見るしかない…。

ってな感じだろうか。
こうして、普段考えたこともない“イネイト”の存在を、都合よく思い出したりする。
考えたことのない“イネイト”を説明できるはずもなく、「様子を見て」といって誤魔化しているに過ぎない。

要は、結果を出せなかった時に出るセリフである。
そう、私たちカイロプラクターに求められるモノは、結果なのだ。

では、「様子を見て」と言われた側はどうするのだろうか。
おそらく、言われた通りに他の施術院の様子を見に行っているに違いない。
当然、2回目はない。

治さずとも結果は出す。
カイロプラクターであれば、誰しもが1度は直面する問題だと思う(……そう信じたいがな…)。
直面して初めて、「如何にして結果を出すか??」という考えに進むことができる。

結果の出し方はいろいろある。
姿勢画像を用いて視覚に訴えかけるのもあれば、筋力検査などで実感してもらうのもある。
「あ~、来た時と全然違う!!」などと、自発的に言ってもらえればそれが一番だ。

ただ、結果が出せなかった分、「“ほぐし”を長くしました」っつーのは違うぞ。
何も「直」してないからな、それだと。
身勝手な拡大解釈はやめるように。

結果を出すことによって、継続が起こり、やがては口コミへと広がりを見せる。
口コミで訪れた人は、きっと笑顔でこう言ってくるだろう。

「ここなら何でも治してくれるって聞きました!!」

「直」しているこっちとしては、カイロプラクティック啓蒙の難しさに愕然とさせられるかもしれない。
「治」してもらえれば何でもいい、という考えの前に、カイロプラクターの叫びは届きにくい。

ただ、そう落ち込むなかれ。
そもそも、そんな簡単に理解され、伝わるような話ではないのだから。
ここは1つ、新たにチャンスが訪れたと考えよう。

何度でも何度でも伝えよう。
少しずつ少しずつ解ってもらおう。

そうすることで、きっと私たち自身もカイロプラクターとして育っていくに違いない。

Don't Heal, Adjust!!

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