この時期になると、必ず思い出すボキャブラがある。
♪~兄は夜更け過ぎに~ユキエと変わるだろう~~♫
哀しいかな、クリスマスにまつわる思い出はこの程度しか持ち合わせていない。
そして今年もこれを超えるイベントは予定されていなかった。
当然、何もなかった。
試しに先日、何の当てもなくイヴの街中を歩いてみた。
普段はせいぜい手を繋いでいるだけなのに、昨日は腕を組んで寄り添う姿が多く見られた。
それは別に構わないのだが、ショッピングもそうしたアベックに占拠されたのは邪魔くさかった。
言うなれば、バレンタインデーにチョコレートを買うのが気恥ずかしくなるような、あの感覚に近い。
アメリカでは、クリスマスは家族のイベントである。
ありとあらゆる店舗が休業し、数年前まではマクドナルドさえ休みだった。
よって、温かい家庭のない者の中には食いっぱぐれる者が出てきてもおかしくない日でもあるのだ。
何も知らなかった私も、初めてのクリスマスは危うく食いっぱぐれるところだった。
幸運にも、クラスメートの温かい家庭に拾われ事なきを得た。
その後も温かい家庭に拾われ続け、文字通りオイシイ思いをしてきた。
クリスマスの翌日からはアフター・クリスマスセールが開催される。
買い物好きの私は、近隣にあるアウトレット・モールを車で駆け巡ったものである。
近隣と言っても、車で1~2時間はかかるのだが。
今更言うまでもないが、もちろん独りだ。
それでも、ナパのワイナリーに寄ったりして、結構楽しんでいた。
アメリカでは毎年そんな感じだった。
ところがある年、部屋のドアをノックする者が現れた。
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