カイロプラクティックの名前はかなり浸透している。
このブログ上では、まるで呪文のように何回も繰り返してきたことだ。
「カイロプラクティック」を正しく発音できない人がまだほとんどではあるけれど…である。
ゼロから始まったカイロプラクティック。
今では国際基準に代表される、海外と同等とも言えるまでの教育が受けられるまでになった。
日本におけるカイロプラクティックの普及は、まさしく先人の尽力があってこそのモノだ。
どこの世界でも一般的に言われることがある。
『わからないことがあったら先輩に聞け』
ただ、カイロプラクティックの世界では学生の時、こう言われることがある。
『先輩の言うことは聞くな』
前者はともかく、実は後者も一理ある。
というのも、学校での先輩というのは、たかだか1~2年の違いでしかない。
そのくらいの先輩はまだ試行錯誤を繰り返しているところであり、何かが確立されている訳ではない。
言わば、中途半端の段階にあるのだ。
中途半端な人からハンパな技術を伝授されても、いい迷惑である。
そういう人に限って、何故か「教えたがり」だったりするので、ホント迷惑なのだ。
そんな私も一時期、後輩に教えたりもしていたが、ある時から止めてしまった。
何度となく触れてきた通り、私の経歴はゴチャゴチャしていて、その間に様々なテクニックを体験してきた。
そのゴチャゴチャを教えたところで、却って混乱をきたすだけで、その時点では決してプラスにはならない。
以降、よっぽどの場合でない限り、一切の口出しはしていない。
したとしても基本的なことのみで、それ以上の事は言わない。
『私の言うことを聞いても何の参考にもならないし、混乱するだけだと思うよ』と、正直に言うことにしている。
このブログをご覧の方々はもうすうすお気づきの事とは思う。
しかし、大切なことなので、念のため書いておく。
私の言うことを鵜呑みにしてはいけない。
ふふ。
[5回]
学校を卒業してからも勉強は続く。
勉強することは、むしろ卒業後の方が多いかもしれない。
多くの人は、師というべき先輩の下で技術はもちろん、あらゆることを学ぶこととなる。
教えてくれるのは師匠である。
ただ、それだけでは師匠を越えていくことは難しい。
そこから更なる高みへと導いてくれるのは、仲間である。
特に、同級生に近い仲間の存在は大きい。
「利用者がカイロプラクターを育ててくれる」と言う人は多い。
しかし、それと同じくらい育ててくれるのは、実は仲間なのではないかと、最近思う。
だからといって、何処かしらの団体に入ることを推奨している訳ではない。
むしろ、そうした団体の壁を越えたところでの仲間が望ましい。
互いに刺激し合える間柄でないと、その先の成長は期待できないと思っている。
持論であるが、「教えたがり」に上手い人はいない。
そういう人が先輩にいると、結構面倒臭い。
得られるところがほとんどない割に絡んでくるので、酔った時以上に扱いに困る。
その点、上手い先輩であれば、『ああ、あの人は凄い』と、こちらから教えを乞いたいと思う。
それをライバル視するのであれば、それでもいいし、師と仰ぐのであれば、それもいい。
それができなければ、ただの凄い先輩として認めるというのもアリだ。
しかし、この業界にも“大御所”というべき大先輩がいる。
大先輩はあまり私達の近くまで来てはくれない。
かといって、こちらから押しかけるわけにもいかない。
特別、接点も持てず、名前だけ聞いたことのある“偉大な人”で終わってしまうことがほとんどであろう。
私が思うに、大先輩先生方と私達もしくはその下の代とを繋ぐパイプがどうにも脆弱ではないのか。
大先生と杯を交わす度に、『また遠慮なく誘ってくれよっ!!』と、嬉しい言葉をかけて下さる。
その一方で、平気でドタキャンをかましてくれたりもする。
カイロプラクティック界では、大先生方に絡んだグニョグニョした隔たりがある。
それはそれとして、歴史の1ページに過ぎない。
業界のこれからを担う者達がそのグニョグニョまでもを継承する必要はないのだ。
私より下の世代からすると、大先生方は生きながらにして歴史上の偉人と化しているように思えてならない。
大先生方はカイロプラクティック業界の“今”をどれくらい把握しておられるのだろうか。
今や芸能界の大御所となってしまった、和田アキ子さんは言う。
『昔はいろいろと教えてくれる先輩がいた。
いつの頃からか先輩がいなくなり、誰からも教わることができなくなった。
“今”を一番知っているのは後輩の若手達。
だから、後輩の番組に積極的に出て、後輩達から“今”を教わっている』
日本将棋連盟会長の米長邦雄・永世棋聖は41歳の年、7大タイトルのうち4冠を手中にしていた。
ところが、2年後には全てのタイトルを失い、全く勝てない状態になってしまった。
その時、弟子から『先生の将棋は古い』と指摘され愕然としたという。
しかし、米長さんはその指摘に対し、こう言った。
『キミの弟子にしてくれないか??』
その後の弟子との対局の中で、自分では考えもつかない斬新な戦術を素直に学んだ。
そして、49歳にして史上最年長で名人戦を制したのである。
先人の知恵や教えが後世に伝わらない世界に、明るい未来があるとは思えない。
伝わらないことで、先人と同じ試行錯誤を繰り返すのは、時間のムダ以外の何物でもない。
また、現役であろうとするならば、先人にしても学び吸収できる“今”があるはずである。
“カイロプラクティック”の名前だけで、先人と後人との間で別モノを扱ってはいないだろうか。
先人の教えがあるのなら、是非とも今に伝えてほしい。
その教えに則り、私達は仲間と切磋琢磨しながらその技術を高めていく。
全ては、カイロプラクティックの未来へと繋がっているのだ。
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