全国B級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」が世間一般的に認知されて久しい。
その間、様々なご当地グルメ、いわゆるB-1グルメが紹介されてきている。
富士宮やきそば、厚木シロコロホルモンなど、B級ながら全国区にまで上りつめたモノも少なくない。
そう、優勝などしてしまえば、盛り上がりも含め、認知度は急上昇する。
自分たちの慣れ親しんできた味で勝負し、それが地域活性化へと繋がっていく。
涙ながらのドキュメント映像を目にすることもあるが、その気持ちは分からないではない。
その一方で、パチモンやまがいモノが続々誕生するのも、また世の常である。
極端な話、儲かれば何でもいいという発想しかない連中は何でもやる。
「法に触れている訳ではない」などと言い放ち、モラルに関しては口をつぐむ。
カイロプラクティックの業界もこれに近いものを感じる。
[4回]
結構前の毎日新聞だったか、次のような内容の記事が掲載されていた。
今年のB-1グランプリで優勝した「甲府鳥もつ煮」。
優勝決定後、地元ではメニューに追加する店が続出したという。
一方で、未熟品やアレンジを加えたモノが現れてきているらしい。
B-1に出展した「みなさまの縁をとりもつ隊」では認定制度の採用を検討しているとのこと。
これに対して、「認定の有無より味の指導の徹底を」という意見が上がっている。
また、「一部の店の特権となってしまっては、街全体が盛り上がらない」との意見もある。
B-1の代名詞とも言える「富士宮やきそば」は拡大路線をとっている。
講習会を開くことで、認定店を増やしているという。
「街の認知度を上げることが大切。
閉鎖的な考えでなく、地域全体で盛り上がることを目指すべき」
さて、ここでカイロプラクティックのことを考えてみる。
“カイロプラクティック”という言葉の知名度は上がったかもしれない。
しかしながら、本当の意味での認知度となると、まだまだと言わざるを得ない。
味と同様に、一定のレベルを保つためには認定制度の導入は不可欠とも言えよう。
JACに言わせれば、“国際基準”こそがこれに該当するのだろう。
そして、その指導の徹底のため設立されたのが、当時のRMIT日本校である。
これはすなわち、セミナー開催による拡大路線とは一線を画すことになる。
調理師免許を有する者が講習を受ければ味の再現はできるのかもしれないが、カイロプラクティックとなるとそうはいかない。
解剖学などの知識が十分でない者に対し安易にテクニックを享受することは、様々な危険を伴う。
先のセミナー問題が、まさにこれに当たる。
だからといって、国際基準を満たした者だけがセミナー受講の特権を得られるとなると、業界全体の盛り上がりに欠ける。
業界全体でみれば、国際基準を満たした者の数は劇的に少ない。
これでは盛り上がろうはずがない。
哀しいかな、先に挙げた言葉の全てがカイロプラクティックにも当てはまる。
ここまで当てはまるということは、カイロプラクティックも未だ“B級”ということなのか。
ただ、いわゆる“B級グルメ”とカイロプラクティックの間には、決定的に違う一面がある。
B-1グランプリ開催の度に、出展者のドキュメントが放映される。
映像に映し出される汗と涙からでも、その一生懸命さと必死さが十分過ぎるほど伝わってくる。
その点、カイロプラクティックはどうなのか??
業界全体としてでも、各団体としてでもいい。
そこまで必死で取り組んでいる人がどれだけいるのだろう??
もちろん、個人レベルで自らのプラクティスに汗水垂らしている人はたくさんいる。
地道に努力を重ねる、それは最も重要なこと。
しかし、それはまた、当たり前のことでもある。
「当たり前の難しさ」に気がつくと、人はそれ以上のことをしようとしなくなる。
そして、まずは自らのプラクティスを完璧しようと思い立つ。
それはそれで結構だ。
しかし、ゴールが無い以上、完璧に辿り着くことは永遠になく、いつしか言い訳の1つとして使われやすい。
業界に関する活動に対して、「そんな余裕はない」と言う先生方も多い。
そんな先生方のブログを見ると、結構余裕をぶっこいていそうな記載が少なくない。
そんな一面からも、またたくさんの言い訳が生み出されていく。
カイロプラクティックの業界は、全体で盛り上がろうという気構えが思いっきり欠けている。
私が企画・運営に携わっている「カイロプラクティック・ソウルナイト」においても、そうした側面が参加者の中からも垣間見える。
そこから次のステップに進もうという機運が、参加者の中から全く感じ伝わってこないのだ。
参加もしないで、変に冷めた目で見ている連中もいる。
「仲間内で勝手に盛り上がっている」などと思われているのだとしたら、実に腹立たしい。
もしかすると、根拠なしに見下されているのかもしれない。
それが証拠に、そうした側からのそれ以上の企画をもって盛り上がろうという動きが一切見られない。
何だろう、業界を盛り上げようとかいう発想は起こらないのだろうか??
それとも現状で十分満足しているのか??
それはつまり、自分さえ良ければそれでいいということなのか??
それとも、単なる諦めか…。
こういうことを書いている、私がレアなだけなのか??
私の間隔が業界ズレしているのだろうか??
………。
「楽天主義をもって邁進すれば、時が解決することもある」
ノーベル化学賞を受賞した根岸英一先生と鈴木章先生が指導を受けた、故・ハーバード・ブラウン博士の言葉である。
カイロプラクター一個人のレベルでは、時が解決することは何もないかもしれない。
ただ、業界としては、この言葉がそのまま当てはまると信じたい。
JACがもう少し楽天主義をもって邁進してくれればね…。
世に“C-1グランプリ”があると仮定する。
そのとき、"C-1" の"C"は"Chiropractic"の"C"なのか。
それとも、"C級"の"C"なのか…。
せめて"ウルトラC”の"C”でありたい。
…って、"ウルトラC”の言葉自体がもう死語だな。
まさか、C級でも甘いとか…??
やれやれ…。
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